経営者が交流会で握手を交わす様子(モノクロ)
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AI時代こそ、泥臭い営業が価値を持つ理由

AIで効率化できることが増えるほど、逆に「人と会って話す」アナログ営業の価値が上がっている。直近半年で経営者交流会を回り続けて、はっきり感じたことだ。AIが万能化するからこそ、最後にビジネスを動かすのは人間関係に戻る。逆張りに見えるかもしれないが、現場では当たり前になりつつある。

AIで誰でも同じ提案書が作れる時代になった

ChatGPTやClaudeを少し使えば、それなりの企画書も提案書も10分で出せる。テンプレートも資料も世の中に溢れている。差がつかなくなった、ということだ。

同じ品質の資料が一瞬で出る世界では、何で選ばれるかが変わる。「誰がそれを持ってきたか」「この人と仕事をしたいか」という、極めてアナログな基準に戻る。AIが進めば進むほど、最後の決め手は人になる。

私自身、AIコンサルとして月10万円から30万円の契約を結ばせていただいているが、技術力で選ばれたケースはほぼない。共通しているのは、対面か少なくともオンラインで時間をかけて話したあとの成約だ。

交流会で気づいた「営業しない営業」の効き目

2026年3月、ある経営者の誕生日会に呼ばれた。会場で出会った方から「もっと話を聞きたい」と言っていただき、後日22人限定の少人数会にも招待された。事前に「いきなり営業目的で来る人は嫌われる」とアドバイスをもらっていたので、その日は人間性で勝負すると決めて、自分の考え方だけを話した。

結果、目の前のビジネスにはならなかった。けれど「あなたという人を覚えた」と言ってもらえた。これがあとで効いてくる。半年経った今、その時の出会いから派生して別の案件が3件動いている。

同じ月、埼玉まで足を運んで別の経営者にも会いに行った。こちらも結果として直接の契約には至らなかったが、その方の知人だった経営コンサルが横浜と赤羽の交流会の会長で、3時間話して一気に距離が縮まった。仕事につながるかは未確定だが、こういう関係こそが3年後5年後に効く。

つまり、その場で売り込まないことが結果的に最も効果的な営業になっている。AIで誰でも提案書が作れる時代の、唯一の差別化軸がここにある。

経営者交流会で会話する人々(モノクロ)
交流会での出会いが、半年後に思わぬ案件につながる

「人間性で選ばれる」が経営戦略のコアになる

振り返ると、ここ半年で成約した案件はすべて「機能比較」では決まっていない。クライアントが選んだのは、私という人間と、私が話す価値観だった。

守成クラブ、新生会、中野法人会、複数の交流会に顔を出し続けた。一回会っただけで仕事にならなくても、半年通えば必ず誰かが思い出してくれる。「AIのことならあの陳さん」と覚えてもらった瞬間、紹介の連鎖が始まる。これは検索エンジンでもAIでも代替できない、人間のネットワーク特有の挙動だ。

クライアントワークも同じ構造になっている。AIで作業時間を圧縮できるからこそ、空いた時間を打ち合わせや雑談、現場訪問に振り直す。技術的なアウトプットは差がつきにくいが、相手の事業の細かい温度感を理解しているかどうかは、AIには絶対に拾えない。

AIとアナログを両輪で回す具体的な方法

では実際にどう動くか。私が現場でやっていることを3つ挙げる。

  • AIで作業を圧縮し、空いた時間を「会う」に投資する。提案書の下書き、議事録、契約書のドラフトはClaudeに任せる。浮いた数時間を交流会、1on1、現場訪問に回す。
  • 初回は売り込まない。提案書を持って行かない、自分の話よりも相手の事業を聞く。AIで誰でも持ってこられる資料に価値はない。
  • 顔を覚えてもらう頻度を作る。同じ交流会に最低6ヶ月通う。一回の濃さより継続の頻度が効く。

逆に言えば、AIに振りきれない経営者ほど、いま最も損をしている。営業も提案書作成も自分でやって時間が枯渇し、肝心の人と会う時間が取れなくなっている。AIで作業を切り離すことが、結果的にアナログを強化する。

AIコンサルティングを依頼するときも、この感覚を持っている経営者は強い。ツール導入だけを目的にする会社と、AIで時間を作って自分は人と会いに行くと決めている会社では、半年後の景色が全く違う。詳しい話はAIエンジニア活用のページにもまとめている。

これからの経営は「両利き」が標準になる

AIの進化はまだ加速する。1年後にはさらに多くの作業が自動化されているはずだ。それでも、いやそれだからこそ、人と会う時間の価値は逆に高くなる。

テクノロジーに振りきる人と、アナログに振りきる人の中間、両方を全力で回す経営者が次の数年を取っていく。AIは時間を作る道具、アナログ営業は信頼を作る活動。役割が違う以上、片方だけでは勝てない。

AI事業を立ち上げてから半年、技術の派手さよりも、地味に人に会い続けることのほうが結果に直結することを毎日実感している。逆張りに見えてこれが王道だ。

もし自社の経営をどう作り変えるかで悩んでいるなら、まずは過去の事例を見て、どんな会社がどう変わったかを覗いてみてほしい。見えてくる景色が変わるはずだ。

株式会社ISSHIN 代表 陳紀洋
Author

陳 紀洋(Chen Kiyo)

株式会社ISSHIN 代表取締役。AI を経営の現場に持ち込み、中小企業の業務とブランドを「一新」する事業を展開。プロフィール →

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